自分でできるハチ退治(蜂の巣駆除) – ハチの習性と忌避方法

自分でできるハチ退治(蜂の巣駆除) – ハチの習性と忌避方法
目次

はじめに

ハチの巣は、早期であれば業者に頼らなくても自分で駆除が可能ですが、誤った対応をすると死亡事故に繋がることもあります。まずはハチのことを正しく知り、どのように対処・対策していくかを考えていきましょう。

ハチによる死亡事故件数

ハチによる死亡事故の件数は、最多であった1984年の73件よりは減少してきましたが、近年でも年間10件を下回ったことはありません。男女の割合では、男性の方が圧倒的に多く、また年齢別では50歳以上が凡そ9割以上を占めます。

危険なハチの種類

スズメバチ(危険度大)

最大で5cmほど、小型の働きバチでも3cm近くある、大きいサイズのハチです。オレンジ色の体と黒い脚を持っています。巣は丸型もしくはフラスコ型で、マーブル模様の外皮に覆われているのが特徴です。攻撃性が非常に高い種類であるうえ毒は強力で、刺された場合にアナフィラキシーショック(急性アレルギー反応)の危険性があり、死亡事故のほとんどがスズメバチによるものと考えられます。

アシナガバチ(危険度中)

スズメバチよりも一回り小さく、最大で3cmほどの大きさです。黄色っぽい体と、名前の通りに長い後ろ脚を持っています。巣は六角形の構造がむき出しの、シャワーヘッドのような形をしているのが特徴です。スズメバチに比べると攻撃性は低いのですが、刺された時の痛みは同等以上です。毒の成分はスズメバチと共通するものが多く、こちらもアナフィラキシーショックを起こすことがありますので、アシナガバチにも注意が必要です。

ミツバチ(危険度小)

1~2cmほどの小さなハチです。巣は大きな板状であるのが特徴です。攻撃性、毒性ともに、スズメバチやアシナガバチと比べると低いのですが、巣を刺激されると攻撃してくる恐れがあります。

ハチに注意が必要な季節と時間

ハチの攻撃性が高くなるのは、種類によらず共通して巣作り・繁殖の時期です。
スズメバチは7月~9月頃にかけて、最も注意が必要です。特に秋口は餌となる昆虫の数が減ってくるため気が立っていて、非常に凶暴となります。アシナガバチは6月~8月にかけてが、巣の規模が最大となり、繁殖期でもあります。これらスズメバチとアシナガバチは、越冬をする女王バチを除いて働きバチは死んでしまいます。巣は1年で使い捨てられ、翌年も同じ巣を使うことはありません。しかしミツバチは巣ごと越冬をし、ほぼ1年中活動しています。そのため春であっても巣の規模が大きく、数千から数万匹が生息している場合があります。朝から日中にかけては巣の外で活発に活動しますが、日没後から夜間は巣に戻るため、遭遇することは少ないでしょう。ほとんどのハチは夜目がきかず、夜間はうまく飛ぶことができないためです。

ハチが巣を作りやすい場所

軒下、屋根裏、樹木、換気口、壁の内部、生け垣など、エサが豊富で、天候に左右されず、天敵に襲われる危険性がないところであれば、ハチはどこにでも巣を作ります。スズメバチやアシナガバチの女王バチが巣作りを始める4月~5月頃は、巣を作られそうな場所を少し注意して見ておくとよいでしょう。

ハチに刺されないために

ハチは見境なく人を襲って刺してくるわけではありません。あくまで人を敵だと判断した時に、防衛行動として刺して攻撃をしてくるのです。ハチを刺激しないために、次のことに気を付けましょう。

①巣に近づかない

巣に近づくと、ハチは大あごをカチカチと鳴らしたり、羽音をさせたりといった警告行動を取ります。
これを無視すると、ハチは毒針で刺すあるいは毒液を吹きかけてくるだけでなく、警報情報がフェロモンにより仲間に伝達され、巣からハチが一斉に飛び出してきて非常に危険な状態となる恐れがあります。

②巣に振動を与えない

巣の場所によりますが、戸口の開閉などにより発生する振動でも敏感に反応し、攻撃的になってしまう場合があります。

③黒い服を避ける

ハチは黒くて動くものに強く反応するため、黒い衣服は避け、黒色以外の帽子を被って髪の毛を隠しましょう。

④強いにおいの出るものを避ける

香水、整髪料、人の体臭、食べ物のにおいなどに反応します。整髪料などは無香料のものを使う、汗をこまめに拭く、出す前のゴミ袋を屋外に置かないなど心がけましょう。

⑤慌てない

ハチに近づいてしまった場合でも、手で払うような動きをしたり、走って逃げたり、大きな声を出したり、といった激しい行動は、ハチを一気に興奮状態にさせてしまう可能性があります。静かに身を低くして、ゆっくりとその場を去りましょう。

ハチに刺された時の対処

ハチ刺されてしまった場合でも焦らずに、頭を低くし、その場からゆっくりと離れ、室内に入るなどして安全を確保しましょう。針をピンセットなどで抜き、患部の周囲を指でつまんで毒を絞り出しながら、流水で良く洗い流してください。この時に毒を口で吸い出そうとすると、誤って毒針を飲み込んでしまったり、毒が口を経由して体に取り込まれてしまったりする恐れがあるため、必ず指で処置を行ってください。過去に刺されたことがある場合は特にアナフィラキシーショックを起こす可能性がありますが、初めて刺された場合でも起こさないとは限りません。刺された本人が車を運転するのは、道中で意識を失うなどの可能性を考えると危険です。他の人に連れて行って貰い、早急に医師の処置を受けましょう。刺されてから15分~30分の間に、患部以外に体調の変化が起きた場合は非常に危険な状態ですので、迷わず救急車を呼んでください。

ハチの巣を駆除したいと思ったら

ハチの巣の駆除は、原則としてその土地、建物の所有者がその責任において行うことになります。
巣ができた場所が借家である場合は、大家さんに連絡をして対処して貰いましょう。マンションの共同部分にできた場合は、管理組合に相談しましょう。公園、図書館などの公共の場所で見つけた場合は、自治体に連絡すれば対応して貰うことができます。自分の所有する土地、建物である場合は自分で対処しなくてはならない場合がほとんどですが、まずはお住いの自治体に相談してみてください。自治体によって制度は異なりますが、対応の種類は凡そ次の通りです。

スズメバチ駆除の場合

・自治体が無料で駆除を行う(ごく少数)
・駆除業者の斡旋
・補助金を出してくれる
・駆除に必要な道具の貸し出し
・無料相談のみ

アシナガバチ、ミツバチの場合

・駆除業者の斡旋
・補助金を出してくれる(ごく少数)
・駆除に必要な道具の貸し出し
・無料相談のみ

予め巣および周囲の写真を撮影しておくと、自分で判別する自信がない場合でもハチの種類の確認をして貰ったり、巣の周囲の状況を説明したりするのに役立つでしょう。ただし、撮影する際にはうっかり巣に近づいてハチを刺激しないようにご注意を。3m~4m以上は離れてください。

自分で駆除するか、業者に依頼するか

次の3点を満たす場合は、ハチの巣の駆除は自分で行うことができます。いずれか1点だけでも当てはまらない場合は危険ですので、業者に駆除を依頼してください。

①ハチの種類はスズメバチではない

アシナガバチとミツバチの場合のみ、自分で駆除を行う検討をしてください。

②巣の大きさは、直径5cm以下である

時期としては5月頃までが目安となります。

③巣があるのは、高所あるいは屋根裏などの閉鎖的な場所ではない

高所作業の場合は転落などの危険性があること、閉鎖的な場所の場合は咄嗟の時に逃げられない可能性があることが理由です。

自分でハチの巣を駆除する

事前に十分な準備をして臨みましょう。

①刺されにくい服装を用意する

専用の防護服が理想的ですが、購入するとかなり高額ですので、自分で用意するのは難しいかもしれません。自治体によっては防護服に加え、必要な道具を貸し出してくれる場合がありますので、相談してみるとよいでしょう。また、必ずしも防護服でなくとも、全身をカバーでき、毒針を通さない程度に生地が厚く、白色であれば構いませんが、首回りや袖口に隙間ができないように縛る、タオルを詰めるなど、細心の注意を払ってください。

②周囲の住民にハチの駆除を行うことを知らせる

駆除を行う日時には現場に近づかないように、またハチが侵入しないように戸を閉めて貰うなど、予め周囲の安全を確保しましょう。

③複数人で駆除に臨む

手早く駆除を終わらせるため、また万が一ハチに刺されてしまった時に対処できるよう、必ず複数人で駆除を行いましょう。

④夜になってから駆除を行う

日中は巣の外でハチが活動するため、駆除中に戻ってきたハチに挟み撃ちにされる恐れがあります。夜間に巣に戻っているところを一網打尽にしましょう。懐中電灯を直接巣に当てると、光の元に向かってくる恐れがあるため、巣から少し離れた場所を照らして作業してください。

⑤ハチ用のエアゾールを巣に噴射する

それぞれの製品の使用説明書に従ってください。ハチの巣から離れた場所から噴射できるようになっています。↓↓↓おすすめの商品はコチラ↓↓↓

⑥巣を長い棒で叩き落す

落とした巣はビニール袋で速やかに回収します。密封する前に、袋の中の巣に向かってエアゾールを噴射しておき、生き残っている蜂を駆除しましょう。

⑦死骸を片付ける

毒針で刺される恐れがあるため、手で触らず、箒などで回収してください。死骸は巣と一緒に燃えるごみとして処分してください。

➇巣があった場所にエアゾールを噴射しておく

同じ場所に再び巣を作られることを防ぐためです。製品によりますが、忌避剤が含まれており、1か月ほどは効果が持続します。

⑨業者に駆除を依頼する

気になる費用は10000円~50000円と、金額に幅があります。駆除が必要な巣の大きさ、個数、場所によって変わってくるためです。中には悪質な業者もいるようで、こんなトラブル事案が報告されているので、注意が必要です。

①見積り前に勝手に作業を始めてしまい、費用を請求してくる
②費用の水増し(不要な作業、巣の個数の追加など)

巣を一刻も早く駆除したいという焦る気持ちを抑えて複数の業者に見積りを取ったり、費用の明細を確認し、納得ができない場合は安易に支払わない、あるいは消費者庁に相談するなどの対応を取ったりするようにしましょう。

おわりに

これまでハチの巣を駆除することについて述べてきましたが、ハチは野菜や樹木に被害を与える害虫を食べるなど、人にとって有益な働きをする益虫でもあるため、むやみに駆除するべきではありません。人に害を与えないような場所であれば、巣を見つけてもそっとしておくことが必要です。また、近年ではスズメバチの攻撃性を失わせる忌避成分が開発され、殺さず避けるという選択ができるようにもなっています。

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